雪の進軍（俗謡軍歌）
作詞・作曲：永井建子
収録：軍歌戦時歌謡大全集（評）
１．
雪の進軍氷を蹈んで、
どれが川やら道さへ知ず。
馬は倒る捨ても置ず、
茲は何所ぞ皆敵の国。
儘よ大胆一服やれば、
頼少なや煙草が二本。
２．
焼（やか）ぬ乾魚に半（はん）煎飯に、
なまじ生命の有其中は、
怺切ない寒さの焚火、
煙筈だよ生木が燻る。
渋い顔して功名話、
すいと言のは梅干一。
３．
着のみ着の儘気楽な衾、
背嚢枕に外套被りや。
背なの暖で雪解懸る、
夜具の黍幹シツポリ濡て、
結兼たる露営の夢を、
月は冷く顔覗き込む。
４．
命捧て出て来た身故、
死る覚悟で吶喊すれど、
武運拙く討死せねば、
義理に搦た恤兵真綿。
鼠栗鼠栗と首締懸る、
どうせ生して還ぬ積。
<メモ>
森林太郎（鴎外）による替え歌「箱入娘」あり。
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