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軍歌
進軍の歌

東京日々・大阪毎日新聞社懸賞募集当選歌
1937

作詞:本多信寿
作曲:辻順治

[歌詞・備考] [原典・楽譜]

 

音源 mp3

1.
雲わきあがる この朝
旭日の下 敢然と
正義に起てり 大日本
執れ膺懲の銃と剣

2.
祖国の護り 道の為
君の御勅を 畏みて
山河に興る 肝と熱
鳴れ進軍の 旗の風

3.
広漠の土 吼ゆる海
越えゆくところ 厳然と
空に光れリ 日章旗
撃て暴虐の 世々の敵

4.
巌と固き 軍律に
轟く正義 その力
千万人も 敢て往く
これ神州の 大和魂

5.
すでに聖戦 幾そ度
凱歌は常に 我とあり
貫く誠 ただ一つ
知れ万世の 大日本

6.
水漬き草むす 純忠の
屍にかをる 桜花
光と仰ぐ 皇軍
聴け堂々の 進軍歌

(万歳三唱)

 

<備考>

[曲について]
 19377月の盧溝橋事件をきっかけに、日中間は事実上の戦闘状態に入ります。この事態を受けて、東京日々新聞社と大阪毎日新聞社が士気高揚を意図して、共同で軍歌「進軍の歌」の歌詞を公募しました。

 同年812日、選考の結果、一等には大蔵省会計課に勤務する本多信寿の詩が選ばれました。選考にあたったのは、北原白秋、菊池寛、秦彦三郎(陸軍省新聞班長)の三名[1]。この詩に、陸軍戸山学校軍楽隊隊長・辻順治が曲をつけました[2]。ご存知のように、二等当選したのが「露営の歌」で、こちらは古関裕而が作曲しています。

 同年9月、コロムビアからこの両曲を吹き込んだレコードが発売されました。これも有名なように、A面の「進軍の歌」よりもB面の「露営の歌」の方が流行し、6箇月で60万枚も売り上げる[3]快挙を成し遂げました。

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 このように「露営の歌」の影に隠れてしまった「進軍の歌」ですが、個人的には「露営の歌」よりも気に入っています。ウエットなところがなく、官製軍歌のような簡勁な文体が趣味に合うからです。

<参考文献>

[1] 八巻明彦 『軍歌歳時記』 ヒューマンドキュメント社戦誌刊行会、1986年、129-130頁。
[2] 堀内敬三 『定本日本の軍歌』 実業之日本社、1969年、281頁。なお、八巻明彦は作曲者を当時のチューバ奏者とする(軍歌・戦時歌謡大全集2/昭和の軍歌」付属歌詞カード 日本コロムビア、1995年、24)
[3] 堀内、前掲書 284頁。

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[音源情報]
 著作権および著作隣接権が消滅しているので、所蔵しているSP盤より採録してmp3化しました。陸軍戸山学校軍楽隊(岡田国一楽長指揮)による吹き込みです。

 音源は以下のCDに収録されているものと同じ。より原盤に近い音をお望みの方は、以下のCDをお買い求めください。

軍歌・戦時歌謡大全集2/昭和の軍歌

 

[歌詞・備考] [原典・楽譜]

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