1942年1月1日 「読売新聞」 |
1943年8月20日 『大東亜戦争少国民詩集』 |
1. 天に二つの日は照らず 凌ぐは何ぞ星条旗 大詔くだる時まさに 此の一戦と衝き進む 広袤万里太平洋 目指すはハワイ真珠湾 |
1. 天に二つの日は照らず 凌ぐは何ぞ星条旗、 大詔くだる時まさに 此の一戦と衝き進む 疾風万里太平洋、 目指すはハワイ真珠湾。 |
2. 誰か思はむ暁の 夢おどろかす爆撃を つんざく雲の切れ間より 見よ轟々と攻め襲ふ 必殺の鷲魚雷陣 しんしん迫る潜航艇 |
2. 誰か思はむ暁の 夢おどろかす爆撃を、 つんざく雲の切れ間より、 見よ轟々と攻め襲ふ、 必殺の雷、海の鷲、 しんしん迫る潜航艇。 |
3. 神か人かも身を捨てて ひとへに徹すその命 何をか哭かむ尽忠の ああ、荒み魂、火の柱 撃ちてし止まむ敵主力 たちまち空し米艦隊 |
3. 神か人かも身を捨てて 千古に徹るその命、 何をか哭かむ、尽忠の ああ荒み魂、火の柱、 地軸も裂けよ艦共に たちまち砕く敵主力。 |
4. 天にさからふ理を 今こそ知れや星条旗 千古に比なき勝鬨を 聴け、十二月、この八日 朝日はあがる太平洋 我あり、望む大東亜 |
4. 天の下せる懲罰を 今こそ知れや米艦隊、 正義の決意すでにして 凱歌はあがるこの八日、 一望万里太平洋、 我あり、臨む大東亜。 |
<備考> |
[曲について] 右に掲載したのは死後の1943年に発売された詩集に掲載されたもので、1942年の4月にレコード化されて吹き込まれたのもこの右側の歌詞。したがって、白秋がレコード化にあたり手を加えたと見てよいでしょう。この音源は『軍歌戦時歌謡大全集』に収録されており、その結果今日では修正後の歌詞のほうが有名になっています。 なお、このビクターの大全集に付属している歌詞本は間違いが多く、信用になりません(特に白秋作詞の軍歌に間違いが多いです)。 - 個人的な感想をいわせてもらえば、修正前の4番もなかなかいい感じです。修正後の方が「疾風万里太平洋」と「一望万里太平洋」のふたつが対応しているなど形としては整っていますが、修正前のものは勝報を聴いてすぐの躍動感が感じられて悪くありません。 千古に比なき勝鬨を - あとハワイ海戦の軍歌といえば、佐佐木信綱が作詞した「ハワイ海戦」という似たような名前のものがあります。愛国行進曲の歌詞修正で大喧嘩したこの二人。敢えて似た題名にして対抗したのか、どうなんでしょう。 |