我は再び銃執らん
作詞:杉谷清一
作曲:明本京静
収録:軍歌・戦時歌謡大全集4/戦時歌謡2(評)
1.
大命承けて菊の節
進軍喇叭 嚠喨と
ああ感激のあの歓呼
永久忘れぬ旗の波
2.
鉄兜の装ひ重くとも
軍靴は軽し肅々と
投錨って知れる揚樹浦
夷の陸は涯も無し
3.
泥濘深き塹壕も
屍体遺棄てるクリークも
夜を日についで驀進
我が強者は進撃す
4.
海の荒鷲翔けめぐり
狙ひたがわず爆撃の
甍は天空に舞ひ上り
黒煙濛々天焦す
5.
チェッコの銃や迫撃砲
恃みを誇るトーチカと
堅き塁を破りつつ
押し立てにけり日の御旗
6.
進む戦線速ければ
兵站続かず糧食も
其のささやかに気づく時
思はず振り向く溜り水
7.
よろめく身体引締めて
落ちてはならじと鞭打てば
鞍傷に悩む支那馬は
躓きかけて嘶けり
8.
真赤に映ゆる夕焼の
一眸千里 荒野原
血に染みたるクリークの
水に炊ける飯盒めし
9.
残り尊とし水筒の
しづくを友と分ち合ひ
たばこを一服吸ひ廻し
倶に見交はす髯っ面
10.
暫し憇ひの草枕
始めて受けし故国便り
裸か燈に透し見て
瞳を笑ます判じ読み
11.
突如敵機の爆音は
火消し命令忽ちに
隊形とりて地に俯せば
暗に火焔の雷光り
12.
十字砲光の雨霰
戦闘の進むに隨ひて
輝く功勲 眼にたたへ
仆れる兵馬数多し
13.
臨終の際の万歳は
声も次第にかすれ行く
涙の眦 怒らせて
殲滅せんと進む内
14.
無念や弾丸に傷つきぬ
心許りははやれども
身に負ふ痛手深ければ
切歯扼腕 詮も無し
15.
拙なき武運かこてども
終に内地へ還されて
帝都の白衣着ける身と
変る吾こそ不憫なれ
15.
ベッドに臥せるいたつきに
我が同胞の真心の
降り漉がれて今は早や
一日一日にこころよし
16.
我は再び銃執りて
第一線に立つときは
友の恨みに我が仇に
獅子奮迅と戦はん
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