三菱長崎造船所所歌
作詞:北原白秋
作曲:山田耕筰
収録:不詳
1.
海に噴き立つ積雲の
際涯(はたて)に遠く我呼ばん
皇道光高うして
時代は俟てり この腕
あげよ響を 鏘々と
造船の業ここにあり
2.
夙にかがやく三菱の
歴史に敢て我呼ばん
質実守り固うして
基は古しこの功
競へ日に夜に営々と
剛健の志気ここにあり
3.
月に親しき長崎の
翠に山に我呼ばん
淳俗 心敦うして
文化はゆかしこの入江
睦べ楽しく靄々と
団欒の歌ここにあり
4.
風に天(そら)うつ青潮の
翼に強く我呼ばん
国運 勢若うして
煙はゆゆしこの帆綱
望め 南の白十字
遠大の計ここにあり
<メモ>
三菱長崎造船所はもと官営の造船所で、明治初期に三菱が払い下げを受けて以来、現在でも三菱が営業している。戦前では軍艦の建造で知られ、戦艦「霧島」や「武蔵」など有力な軍艦がこの造船所のドックから生まれた。
左の詩は昭和11(1936)年に、三菱の嘱託で白秋がつくったもの。山田耕筰が曲をつけた。
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