春爛漫の花の色
作詞:矢野勘治
作曲:豊原雄太郎
収録:寮歌(評)
1.
春爛漫の花の色
紫匂ふ雲間より
紅深き(*1)朝日影
長閑けき光さし添へば
鳥は囀り蝶は舞ひ
散り来る花も光あり
2.
秋玲瓏の夕紅葉
山の端近くかぎろえる
血汐の色の夕日影
岡の紅葉にうつろへば
錦栄えある心地して
入相の鐘暮れて行く
3.
それ濁流に魚住まず
秀麗の地に健児あり
勤倹尚武の旗の色
自治共同の笛の声
白雲なびく向陵に
籠るも久し十余年
4.
鳴呼衰へぬ東洋の
二千余載の君子国
銀鞍白馬 華を衒い
翠袖玉釵(*2) 美をつくし
栄華の夢をむさぼりて
文明の化に人酔へり
5.
港を遠み夜はくらく
さかまく怒涛の大洋に
木の葉の如く漂へる
梶の緒絶えたる小舟すら
遥かに見ゆる明星の
光に行手を定むなり
6.
自治の光は常闇の
国を照せる北斗星
大和島根の人々の
心の梶を定むなり
若し夫れ自治のあらずんば
この国民を如何にせん
*1 淡き、とも
*2 玉簪、とも
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