仰げば巍々たる
作詞:山下俊一郎
作曲:楠正一(「ああ玉杯」の譜)
収録:
「海行かば」を歌ったことがありますか
(評)
陸軍戸山学校軍楽隊(戦前)
軍歌大全集(評)
陸軍士官学校出身者(戦後)
1.
仰げば巍々たる市ケ谷の
九重深き雲の上
玉葉の御身いや高く
北白川の水清く
久邇の光を浮ぶなる
誉れは高し我が武窓
2.
立たば登らん富士の峯
斃れて已まん丈夫の
学びの窓に年逝きて
あと百日の城ごもり
やがて皐月の青葉かげ
君と別れん西東
3.
国のためには北海の
雪ふみ分けん旭川
玄海波は荒くとも
要塞まもらん対馬沖
風吹く夜半に村松の
月下に磨かん我が剣
4.
砲工輜重はた騎兵
行く道々は異りて
都に我は残るとも
塵には染まじ白梅の
薫りを永遠に変へざらん
誉れをあげん後の世に
5.
楊柳の曲いま止みて
鳴くや一声ほととぎす
征衣の袖を分つとき
顧みせなん只管に
五年睦みし窓の友
ありし昔の偲ばれて
6.
腰には剣 手には筆
光り栄ある黒帽の
学びの窓に入りしより
胸には希望の輝きて
若き血潮にかられつつ
隙ゆく駒に鞭うちて
7.
太田の流れ水清く
宮城の原に秋高し
阿蘇の煙を眺めては
棚引く雲に思ひ馳せ
金鯱の光り楠のかげ
思ひ山多し過去の夢
8.
習志野の原 草緑
わが馬飼はん時は何時
露営の夢や偲ばれん
月影冴ゆる森かげに
ああ愉快なる年月は
早くも茲に逝かんとす
9.
あと百日を惜しみつつ
歌ふ弥生の春の宴
記せよ我が友とこしへに
学びの昔 顧みて
行けよ吾が友 勇ましく
護国の剣 手にとりて
<メモ>
1番は士官学校に所属する皇族を読み込んでいる。「北白川」「久邇」は宮家の名称をかけた言葉。
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