収録CD:ビクター「軍歌・戦時歌謡大全集」(戦前録音)
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2-3行:本居宣長の和歌より。 「敷島の大和心を人問はば 朝日に匂ふ山桜花」 4-5行:「九重の左近の花」 |
2. 都に東風は吹きすさび 伯耆の国の杉坂の 後を慕ひて高徳が 仮屋の御庭の桜木に 留めし十字の言の葉は 赤き心を墨ぞめの 花とその香をきそひける 世にも稀なる忠烈は 幾千代かけて香しく やまとをのこの鑑ぞと 春の霞のそが中に いとど昔の忍ばれて ますら武夫のいやまさる |
2-3行:『太平記』にある児島高徳の故事から。 「其比備前国に、児嶋備後三郎高徳と云者あり。[...]さらば美作の杉坂こそ究竟の深山なれ。[...]君の御坐ある御宿の庭に、大なる桜木有けるを押削て、大文字に一句の詩をぞ書付たりける。天莫空勾践。時非無范蠡。」 「天莫空勾践。時非無范蠡」は『史記』における勾践と范蠡の故事を踏まえたもの。なお、有名な「臥薪嘗胆」もこの勾践の故事による。 |
3. 帝に仇なすものあるか 国に敵なすものあらば 忠義の剣ふりかざし ただ一撃にきりたふし 国たひらげて安らけく すめら帝の御威徳を 広く世界にかがやかし 桜の花ともろともに 千春万秋迎へんと 矢竹心のいやまさる やまと男子の忠烈は 桜とともにためしなし 桜とともにたぐゐなし |
<備考> |
[曲について] 歌詞は桜に託して忠義を述べたもので、のちの軍歌の先駆ともなる内容です。本居宣長の和歌や児島高徳の故事は軍歌の素材の典型で、後世のものだと前者の場合「朝日に匂ふ桜花」、後者の場合「忠義ざくら」といった歌がつくられています。 |