要衝九江を抜く
作詞:騎兵大尉
上田良作
1.
ドンと舟出し敵陣目指しや
浪も寝たかや※陽湖
あやめ別たぬ闇の夜に
ほのかに十字の白襷
2.
ピンと張切り勇士の胸に
冷たい夜明の風が吹く
岸辺の浪が騒ぐとも
敵前上陸お手のもの
3.
グンと一押敵陣押せば
不意を衝かれて潰走す
昨日の虚勢今はただ
空ろの塹壕に残るのみ
4.
サンと灼け付く真夏の陽光
盧山の峯や谷底を
追ひ撃つ陸の兵士(つはもの)の
頬鬚流るる玉の汗
5.
ガンと鳴つたは我大砲か
空荒鷲の爆弾か
すぢ金入りの肉弾に
敵殲滅は任しとけ
6.
サツと上がった日の丸合図
歓呼は山に長江に
九江城にうづまいた
太湖も落ちたぞ同じ日に
7.
キツと睨んだ鋭い眼
南昌武漢も何のその
胸を叩けば赤い血が
応と答へて沸り立つ
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※・・・「番」に「おおざと」
典拠:『つはもの軍歌』(1942年)、205-206頁。
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