軍歌
山西掃蕩戦
作詞:騎兵大尉
上田良作
作曲:陸軍戸山学校軍楽隊
1938年
1.
千山万丘雲を呼び
幽谷奔流岩を裂く
その山頂に山腹に
山を穿ちて岩刳り
山西あげてこれ陣地
2.
峯に雪消え春逝けば
ここ山陰に谷底に
我虚を狙ひ小癪にも
遊撃戦を呼号して
敗残の敵うごめきぬ
3.
皇師再び起つ所
あへぐ(*1)愛馬の身代に
砲身背負ひ砲車押し
万丈の山今日越えて
明日千仭の谷渡る
4.
河津、運城、垣曲に
あがる勝鬨山こだま
弾薬兵糧尽きるとも
鉄脚のみで戦はん
泉に精気養はん
5.
青空ひびく爆音は
我なつかしの友軍機
空に咲き出る落下傘
天女の舞か白百合か
おお弾薬ぞ兵糧ぞ
6.
皇軍儼と征く所
血迷ひたるか断末魔
毒瓦斯放ち逃れゆく
赤魔の偽装地に堕て
皇道うたふ民の群れ
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*1 「あへぐ」・・・典拠では「あえぐ」とあるが誤植か
典拠:『つはもの軍歌』(1942年)、196-197頁。
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