西洋軍歌蒐集館日本軍歌CD評日本軍歌保管庫

日本軍歌保管庫
あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や・ら・わ行

軍歌
婦人従軍歌

作詞:加藤義清
作曲:奥好義

1894

収録:
軍歌戦時歌謡大全集) 戦前
日本の軍歌(一)暁に祈る) 戦後

1.
火筒の響き遠ざかる
跡には虫もこゑたてず
吹きたつ風はなまぐさく
くれなゐ染めし草の色

2.
わきてすごきは敵味方
帽子飛び去り袖ちぎれ
斃れし人の顔色は
野辺の草葉にさもにたり

3.
やがて十字の旗をたて
天幕をさして荷ひゆく
天幕に待つは日の本の
仁と愛とに富む婦人

4.
真白に細き手をのべて
流るる血しほ洗ひ去り
まくや繃帯白妙の
衣の袖はあけにそみ

5.
味方の兵の上のみか
言葉も通はぬあだ迄も
いとねんごろに看護する
心の色は赤十字

6.
あな勇ましや文明の
母と言ふ名をおひ持ちて
いとねんごろに看護する
心の色は赤十字

<メモ>

 従軍看護婦を謳った軍歌。

 1894年、当時近衛師団軍楽隊の楽手であった加藤義清が、駅で出征する看護婦を見て感激し一夜で詩を書き上げたという。曲は加藤の嘱託で、唱歌作曲家の奥好義が手がけた。

 『定本 日本の軍歌』によると、この軍歌が普及したルートは3つあるようである。

(1)18949月、軍歌集に収録され出版されたこと。
(2)1895年、広島大本営に赴任していた加藤が広島陸軍予備病院の看護婦にこの軍歌を伝えたこと。
(3)全国の小学校や女学校でこの軍歌が教えられたこと。

 なお、当初は3番の「天幕に待つは日の本の」が「此の人々は日の本の」となっていたが、実情にそぐわないということで改められている。

<参考文献>
堀内敬三 『定本 日本の軍歌』 実業之日本社、1969年、109-113頁。


陸軍戸山学校軍楽隊編曲
岡田国一楽長指揮 陸軍戸山学校軍楽隊

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